| 喜 |
男はふらふらと、たいしたあてもなく歩いていた。その手には大きな黒いバックがあった。ふと、男の携帯電話に電話がかかってくる。男が電話に出ると、相手の女は言った。
「あなた、産まれたわ」
「ん、何が」
「何言ってるの、赤ちゃんよ」
「はぁ、誰の?」
「どうしたのよ、あなたの子でしょ」
「えっ!もう産まれたのか」
「いいから早く来てよ」
「どこだっけ」
「病院に決まってるでしょ」
「すぐに行くよ」
「山田病院だからね」
「わかった!」
男はそこら辺のタクシーをつかまえて運転手に言う。
「急いで山田病院に」
「すぐそこじゃぁ、ないですか。ほら、見えてる。ここからなら歩いても1分足らずでつきますよ」
「もっと早く言えよ、そういうことは!」
「無茶なこと言わないでくださいよ。あなた今さっき車に乗ってきたんでしょう」
「そうだっけ」
男はすぐそこだという山田病院に向かった。中にはいると話しかけられた。
「少々お待ち下さい。今赤ちゃんが産まれたところで忙しいので・・」
「ぼくがその父親なんですよ!」
「は?ふざけないでください。あなた猫ですか」
看板には、山田動物病院とかいていた。