| 眠り |
「退屈だ」
ここは哲の家。家と言っても家具らしいものと言えば机と椅子、後はぼろぼろのベットくらいだが。まあ、家具はなくても壁と屋根と戸ぐらいあれば家と言えるだろう。だがそんな家でできることには当然限りがあり、誰でも退屈する。その誰でもが、今は哲だというだけだ。
退屈した哲は、ベットに横になった。たとえ机の前に立ってみたって、窓から外を見たって、この退屈は消えない。それなら体力は使わない方がましだから。
「いい夢でも見るかな」
哲は独り言を言って、目をつむった。そして、哲は夢を見た。子供の時の、まだ母も父も生きていて、毎日が楽しくて仕方なかったという日々のうちの一日に戻ってきたような夢だった。
「現実になんか帰りたくなくなる」
そう哲が呟いた瞬間、ついに、今哲が寝ているぼろベットが壊れ、バネが飛び出し、釘やとがった木がむき出しになった。危機一髪でベットから転がり落ち、助かった哲は呟く。
「ひゃー。もうすぐで本当に現実に帰れなくなるところだった」