花言葉

 あるところにさるさんがいました。とても元気で人気者のおさるさんでした。
 ある日さるさんが散歩をしていると、うさぎさんがきました。手には、なにか赤いお花を持っているようです。
「さるさん、これあげるわ」
うさぎさんはさるさんに何か手渡すと、ほほを赤くして走っていきました。見てみると、それは赤いカーネーションでした。たくさんのカーネーションの中に1枚のカード。そこには
『赤いカーネーション 花言葉…あなたのこと大好き』とかいてあります。
 うさぎさんは花言葉が大好きです。
 さるさんは困ってしまいました。さるさんはねこさんが好きなのです。
うさぎさんはそのことを知っていました。けれど自分の気持ちを伝えないではいられなかったのでした。
その日、さるさんは家に帰ってうさぎさんに電話をしました。
「ごめんね」
うさぎさんは悲しそうに笑っていました。顔は見えなかったけれど、そんな気がしたのです。
 次の日学校に行ったさるさんは少しおどろきました。自分の靴箱にパンジーのお花とまた、カードが1枚あったのです。
『パンジー 花言葉…わたしのことを好きになって   うさぎ』
教室にはいると、ねこさんが泣いていました。さるさんを見つけたねこさんは言いました。
「さるさんはわたしのこときらいだったのね」
さるさんはびっくり。よく見るとねこさんのとなりにはうさぎさんがいました。
「ちがうよ!そんなこと…」
「だってうさぎさんが言ったの。さるさんはわたしのこときらいだって」
さるさんはうさぎさんを見ました。うさぎさんは泣いていました。
「ねこさんを傷つけないで!」
さるさんはうさぎさんに言いました。やっぱりうさぎさんは泣いていました。教室を出て行く前に、うさぎさんは言いました。
「わたしのこときらいになった?」
おこっていたさるさんはうなずきました。
放課後、さるさんが帰っていると少し前の方ににねこさんがいました。けれどねこさんはきずいていないようで、かばさんと話しています。
「さるさん、ぜったいに今日のことでうさぎのこときらいになったわね」
と、ねこさん。
「わたし、きのううさぎがさるさんに赤いカーネーションわたしたのを見たときはおどろいたけど。さるさん取られるかと思った。でもうさぎにそのことみんなに言うわよって言ったらわたしのいうことすんなり聞いてくれたわ。今朝のわたしの泣きまね、うまかったでしょ」
そこまで聞いていて、さるさんはねこさんに声をかけました。
「ねこさん、今のどういうこと」
ねこさんの顔が青くなりました。
「どういうこと!」
さるさんは無意識に泣いていました。
「えっ、うさぎさんにさるさん取られると思って…。うさぎさんにさるさんにきらわれるようにしなさいよって言ったの…」
おっこているさるさんに、ねこさんはつぶやきます。
「やっぱりねこさんきらいだ!」
「ごめんなさい」
走って行くさるさんに、ねこさんはさけびました。ねこさんは少し、泣いているようでした。
 走って帰ったさるさんは急いでうさぎさんに電話しました。けれどうさぎさんはいませんでした。かわりにお母さんが電話に出ました。
「うさぎね、どこかいってるわよ。ああ、そういえばうさぎの部屋がね、白いチューッリップでいっぱいだったの。今朝までたんぽぽでいっぱいだったのに」
「もしかして…」
うさぎさんは花言葉が大好きです。
 さるさんは、白いチューッリップとたんぽぽの花言葉をしらべてみました。
たんぽぽ…ハードルをこえる
白いチューリップ…失恋
「うさぎさん!」
さるさんは外に飛び出しました。うさぎさんをさがすのです。
「うさぎさん!」
さるさんは泣きながら探しました。探して、探して、いつのまにか森にはいっていました。
「うさぎさーん、ごめんね!いるなら返事して」
「…さるさん?さるさんね?だめ!こっちにこないで」
初めて返事がありました。
「なんで」
「だってわたし、今ひどい顔それにさるさん、わたしのこときらいになったでしょ」
「泣いてたの?」
うさぎさんは黙ったままでした。
「ねこさんに聞いたよほんとのこと」
うさぎさんは大きな声で泣き出してしまいました。
「わたしとねこさんどっちが好き?」
「うさぎさんのほうが好きだよ。ねこさんよりずーっと」
さるさんとうさぎさんはいっしょになきました。でも今度は悲しくて泣いたのではありません。
2人は嬉しくて泣いたのです。さるさんはそっと、うさぎさんに、森の入り口でつんだ赤いカーネーションを渡しました。